11.10.2020

何に美しさを見るか



 夫とキムチを食べている時に彼が
白菜の硬いところの部分を選ぶように
食べていたので
「あなたもそこの部分が好きなんだね」
と言うと
え?と困ったような顔をしたのだった




まだ幼い頃
白菜のお漬物が大好きだった私に両親が
小さなお皿に柔らかな葉の部分を私用に
と盛り付けてくれていた




白菜の漬物の鉢には
柔らかな葉の部分だけではなく
葉の下の方の白くて硬い部分があり
私はそちらが綺麗で好きだった




普段は反抗的な私だったが
父方が腎臓病の家系であった為に
私にそっくりだったという
まだ20歳だった弟を亡くした父は
弟と私を重ねて、私が塩分を取る事を
過剰に恐れていた為、何も言えなかった




その話しを夫にすると
普通、柔らかい部分が好きでしょ?
僕も柔らかい葉の部分が好きだけど
美味しい方を食べさせてあげたいな
と思って僕は硬い方を食べていたよ
ご両親もそう思ってたんだろうね




夫とのこの会話があるまで
私の子供心の記憶は
綺麗な白い方の白菜が食べたかった
好きだった方が食べられなかった
という残念な記憶だったのだが
誤解が解けたような思いだった




そして、そう言われて食べてみると
柔らかい葉の部分の方が断然美味しい




白菜の白い部分が綺麗だから好きだ
なんて言われなければわかる訳ないよ
と夫に笑われて
本当にその通りだと私も笑った




でもさ、小さい頃から白菜の漬物にも
美しさを見出してたなんて凄いね
ずっと美しさを求めていたんだね
見つかってよかったね、と夫が言った




そう、見つかって良かった




私はずっと
何を探しているかもわからず
探し続けていた




答え合わせをするように
探しているものが見つかり
願いが叶っている




私が見たい美しい人達
私がいたい美しい世界
叶えることができるのは
私自身






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